2023.11.01
ひとはり日記 2023.11.1
私が幼い頃、私を躾けてくれていたのは忙しい両親よりも二人の兄達でした。
特に長男はなかなか厳しい人で、私が社会人になるまで目を見て話すことも冗談を言うことも憚られるように感じておりました。
幼い頃の私は本当に、何もかもが至らない子供でございました。
小学低学年の頃のことです。
学期の終わりになると、兄二人がごみ袋をもって私の両サイドに立つのです。
そして本棚やら引き出しやら机のビニールシートの中やらに入ったプリントの類をちらりと見せ、
「いるの?」「いらないの?」と次々聞いてきて、いるものはファイルに、いらないものはごみ袋にいれていくのです。
椅子に座ってただ「いるの」「いらないの」と言うだけのことですが、
「いらないの」という言葉が多くなるにつれ、しょんぼりしてしまい最後の方は首をふっていおりました。
大声で叱られたことはありませんが、
乱暴な口を聞いたり、
お喋りに夢中になってお味噌汁をこぼしたり、
母との約束のお手伝いを怠ったりしますと、
背後から凍るような視線を向けられ、静かに名前を呼ばれます。
そうして私は、自分が間違っていましたと涙するのです。
最後に叱られたのは、私が大学生の時。
兄から紹介してもらったアルバイトを兄に相談もせず自己都合でやめたいと店長さんに伝えた時です。
店長さんにその旨を伝えた数日後、
帰宅した兄が正座をして待っておりました。
ここに座りなさいと彼が正座をして申せば、こちらも正座をすることになります。
そうして、兄の正面に着きますと、どこが間違っていたのかを静かに話して聞かされました。
「どうするかよく考えなさい。貴女はよくわかっていると思うよ。」
と言われたとたんに泣いてしまったことは、この先も忘れられないと思います。
兄たちは本当にきちんとした人で、電話口で、
自分の引き出しの何段目のどこに○○が入っているから、それを持ってきてほしいということができます。
私からすると超人です。
凄いねというと、出したものをもとの場所に戻せばできることだよと言われます。
返す言葉がありません。
彼らは余分な動きをしないので、動作がせわしくないのにどんどん仕事を進めることが出来ます。
私は同じところを行ったり来たりします。
冷蔵庫を開けたのにその用を忘れ、包丁を持ったところで用を思い出すなどということは、しょっちゅうです。
また、彼らは話を聞くときはよそ事を考えずに聞くことが出来るので、何度も聞き返すこともありません。
年を重ねて少し違ってきたかもしれませんが、
私からしますと、兄たちはやはり超人です。
同じ親から出てきたとは信じられません…。
「あれ~?」を連呼する私に彼らもきっと同じ思いを持っていることと思います。
行動の全てを一意専心にできたら素敵だなと思います。
一つ一つを丁寧に、よそ事と同時並行したりせず、よそ事を考えながらではなく、努めていけたらいいなと思います。
明日はひとはりワークショップです。
前回ワイヤーを使った花弁の作り方を教わりましたので、
宿題で花弁21枚を仕上げていき、明日は組み立てを教わります。
まだ、2枚ほど仕上がっておりませんが、今夜刺し終えて明日の朝出るまでに布を切り終えたいと思います。
ギリギリ間に合いそうです。
(上手ではありませんので、目を細めてご覧下さいませ。)
お稽古に参加させて頂くのは久しぶりのことなので、もぅ楽しくて仕方がありません。
立体の方法を少し習っただけですのに、
いつか素敵なリースを作ってみたいな…とか、
大切な方へのプレゼントのラッピングにしてみたいな…とか、
思いが募ります。
ですが、何事も一つずつ。
家に帰り着いたらまずはお夕飯をこしらえる。
先のことは考えない…。
花弁のことも…、考えずにまずはお夕飯。
一つ一つ確実に終わらせて次へ、そうやってきちんと始末のできる人になりたいと思います。
やりかけの作品でいっぱいの引き出しがだんだんと達磨さんのお腹のようになっています。
そちらも、一つずつきちん、きちんと始末をつけていきたいと思います…。
今回教材に使用しているのはこちらの商品です。
私の中で、きちんとされている方の象徴が茶道をされている方なので、今回はそのようなイメージで画像を作っていただきました…。